巨人連勝!二岡サヨナラ打!


◆巨人5x−4広島(27日・東京ドーム)  決める。二岡の胸の内は燃えたぎってきた。延長11回2死二塁。カウント2―2からのフォークをはじき返すと、打球は中堅手頭上を大きく越えた。二塁走者・脇谷が本塁を駆け抜ける。サヨナラだ。だが殊勲の背番号7は、一塁を回ったところでこぶしを軽く握ったが、笑みはなかった。「自分の調子は良くなかった。正直、最後の打席で打てて良かった」と二岡は本音を明かした。
二岡サヨナラ打!延長11回大逆転!…0―4から4時間9分粘り連勝

 ようやく笑った。二塁ベースで右手を突き上げた二岡に、全員が集まった。どれだけ打っても、守っても表情を崩さない男が、顔をくしゃくしゃにした。それだけうれしかった。仲間たちから叩かれ、蹴られ、転がった。「勝つことが一番。正直、最後に打てて良かった」安堵(あんど)感でいっぱいだった。

 もつれた展開を、一振りで決めた。延長11回2死二塁。カウント2―2から、横山の高めに抜けたフォークをすくい上げた。打球は、前進守備の中堅手・緒方の頭上を軽々と越えていった。「バットの先っぽだったけど、抜けてくれて良かった」千金のサヨナラ安打に、お立ち台でも、声を張り上げた。連敗地獄だった6月初旬には、自ら首脳陣に1番での起用を直訴したこともあった。すべてはチームの起爆剤になりたい一心だった。だが、その1番に座ってからの7試合で27打数3安打と結果が出なかった。「自分に対するいらだちもありました」1か月ぶりの猛打賞で少しだけ気持ちが楽になった。

 疑惑の判定で、幕を開けた。1回先頭の打席で、二岡の打球は右翼ポール際へ。フェンスを越えた後、弾んでグラウンドへ戻ってきたように見えたが、一塁塁審・橘高の右手は回らなかった。指揮官も猛烈に抗議したが、判定は覆らず二塁打のまま。「僕らが求めるのは、あくまで正しいジャッジ」と試合後、原監督は語気を強めた。これまで小関の三塁空過問題や、広島・井生の勘違い帰塁など、疑惑の判定があったときは悪い流れを断てず、ことごとく負けていた。

 この日もその1回、そして3回にも高橋由が先頭で二塁打を放ったが、走者を進めることすらできなかった。点差は最大4にまで広がり、「またか…」の空気が流れたが、7回、代打・亀井の適時二塁打、8回、阿部の適時二塁打でついに追いつくなど、前半戦にはない粘り強さを見せた。そして延長11回2死一塁から、脇谷がきわどく二盗を決めた後、二岡のサヨナラ打を呼ぶなど、チームにつながりが出てきた。「少しは成長したのかもしれない」と原監督は、逆境に打ち勝ったことに手応えを感じていた。