矢野攻守で魅せたレーザービーム


◆巨人5−3中日(28日・東京ドーム) 冷静だった。矢野の視界は“獲物”をとらえていた。2点リードの8回無死二塁の守り。右翼線寄りに上がった浅い飛球を捕球すると、二塁走者・藤井がスタートを切った。三塁・小久保へワンバウンドのレーザービーム。刺した。小差の終盤で出たビッグプレーが、試合の流れを不動のものとした。「相手のスタートも落ち着いて見えていましたから」当然とばかりに胸を張った。

 絶好調の打撃でも魅せた。中前、左前と広角打法あり、激走での内野安打ありと、3安打で今季早くも5度目の猛打賞。今季これまでスタメン出場16試合で、無安打はわずか1試合のみ。29日に5打席立てば、規定打席に到達する。

 打撃の話題が先行しがちだが、守備もおろそかにすることはない。今季に入って、試合開始前、アメリカンフットボールの球で送球練習を行っている。「アメフットの球にきれいな回転をかけるにはひじを高く上げ、頭の上から投げないといけない」この日のベース上へのストライク返球は、身につけたきれいなフォームのたまものだった。「これからもやることをしっかりやるだけです」走攻守すべてに準備を怠らない。これが矢野の何よりの強みだ。