西武、全スカウト無期停止…センバツ派遣絶望的


過去のスカウト活動でアマチュア2選手に金銭を供与していた西武が、全スカウトに対して自宅待機を命じていることが11日、分かった。スカウト活動の再開時期は決めておらず、現時点で自粛期間は無期限。不正の調査結果が判明し、処分が下されるまでは全員の活動を自粛させる方針で、23日開幕のセンバツ(4月2日まで)への派遣も絶望的となった。東京ガス木村雄太投手(21)と早大の新4年生野手(21)への金銭供与が、西武の未来に大きな影響を及ぼすことになりそうだ。

 裏金問題が西武の未来をも狂わせた。太田秀和球団社長(55)は11日、スカウト陣の所在について「全スカウトは自宅で待機して活動を自粛しております」と説明した。04年の不正に関与していない者も含め、総勢7人に自宅待機を通達。スカウト部全体の活動が、完全停止状態に陥っていることが判明した。

 太田社長は自宅待機の期間を「ひとまず、ということ」と長期間ではないことを示唆したが、活動そのものの再開には相当な期間を要する見込みだ。活動再開のメドに関して「調査委員会の調査が終わってから? そうです」と同社長。この日、西武ホールディングス・後藤高志社長(58)が調査委員会を設置する方針を表明。人選はこれからで、委員会設立後、調査を経て処分を下すまでの期間を考えると、1か月以上の活動停止は決定的となった。

 23日には大阪桐蔭・中田らが参加するセンバツが開幕するが、球団幹部は「全員行かせないことになるだろう」と語った。活動再開を決断するまでは“潔白”のスカウトを含め、全員の活動を自粛させる方針だ。

 無期限活動停止の影響は甚大だ。現役選手の中でも和田、中島、小野寺らの一流選手はドラフト下位指名。スカウトの眼力が主力を担う逸材を発掘し、25年連続Aクラスの土台を築いてきた。スカウトの活動自粛は「常勝・西武」の根幹を揺るがす非常事態といえる。 05年6月の倫理行動宣言以降、有力選手の所属先などに何度も足を運ぶことが「誠意」と解釈され、獲得成功に結びつくようになった。スカウト活動ができない現状では、選手の力量を把握できないだけでなく、熱意のアピール不足にもつながってしまう。